【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
―碧寿宮。
「……ねね、翠玉、私さ、今思ったんだけど」
食事の毒味を済ませ、栄貴妃の食事が終わるのを見届けた後。
後片付けをしていると、ふと、栄貴妃がお茶を飲みながら、呟いた。
「どうなされました?栄貴妃様」
「……殺された、表貴人と白貴人、襲われた集英姫たちのことなのだけど」
栄貴妃が話し出したのは、一連の事件のこと。
「考えて気づいたのだけど、皆、皇帝陛下に目をかけられた人達じゃないかしら?」
栄貴妃は、黎祥の後宮の頂点の華だ。
黎祥の妃のことならば、ある程度には把握している。
「それは……寵愛を受けた、ってことでしょうか?」
若干、驚きながら尋ねると、栄貴妃は
「ううん。そうじゃなくて」
と、首を横に振る。