【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
***
「儀式?」
「ええ。代々、陛下が即位される時に行われる、"宵龍儀”と呼ばれるものよ」
栄貴妃の食事の毒味を終えた後、彼女が切り出したのは三ヶ月後の儀式のこと。
「翠玉にも、出てもらうから」
「ええ!?」
「あら、いや?」
「嫌というか……場違いです。それに、多くの患者がいるんです。そのような式典、辞退させていただきますわ」
少しの時間さで、生死が決まる。
そんな人達を置いて、式典になんて出られるものか。
「でも……翠玉、最近頑張っているじゃない。少しは息抜きを……」
「そのような式典の方が、よっぽど疲れます!」
「あら、そう?」
そこまで言うのなら仕方が無いわね、と、渋々、引き下がってくれた栄貴妃は。
「そう言えば、内楽堂の方へ行くんですって?」
と、話題を変えて、また挑んできた。
「はい。灯蘭様に任されましたものの……どなたに、許可を頂いたらいいのでしょうか?」
そこなのだ。
勝手に、後宮内を荒らすわけにもいかない。
だからといって、許可をとる相手も分からない。
「……順内閣大学士に聞いてみたら?」
「嵐雪さんに?」
「彼は皇帝陛下の信頼厚き秘書官だし、皇帝陛下に直接、許可を頂いてくれると思うわ。最も、順徳太妃を母に持っていらっしゃる灯蘭様の命令といえば、簡単に通りそうだけどね」
それでも、念には念である。
「儀式?」
「ええ。代々、陛下が即位される時に行われる、"宵龍儀”と呼ばれるものよ」
栄貴妃の食事の毒味を終えた後、彼女が切り出したのは三ヶ月後の儀式のこと。
「翠玉にも、出てもらうから」
「ええ!?」
「あら、いや?」
「嫌というか……場違いです。それに、多くの患者がいるんです。そのような式典、辞退させていただきますわ」
少しの時間さで、生死が決まる。
そんな人達を置いて、式典になんて出られるものか。
「でも……翠玉、最近頑張っているじゃない。少しは息抜きを……」
「そのような式典の方が、よっぽど疲れます!」
「あら、そう?」
そこまで言うのなら仕方が無いわね、と、渋々、引き下がってくれた栄貴妃は。
「そう言えば、内楽堂の方へ行くんですって?」
と、話題を変えて、また挑んできた。
「はい。灯蘭様に任されましたものの……どなたに、許可を頂いたらいいのでしょうか?」
そこなのだ。
勝手に、後宮内を荒らすわけにもいかない。
だからといって、許可をとる相手も分からない。
「……順内閣大学士に聞いてみたら?」
「嵐雪さんに?」
「彼は皇帝陛下の信頼厚き秘書官だし、皇帝陛下に直接、許可を頂いてくれると思うわ。最も、順徳太妃を母に持っていらっしゃる灯蘭様の命令といえば、簡単に通りそうだけどね」
それでも、念には念である。