【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「―……飛燕」
「何じゃ?」
「私が下町に行っている間、誰が私の大切な人たちを守ってくれる?」
「永華珠を使えば良い」
「沢山?」
「そなたにあげたものぞ。欲しければ、まだあげる。何より、そなたにしか使えぬ」
「……そう」
よもや、何も聞くまい。
自分が何者かはわからないけれど、使えるものは全て使う。
「……ねぇ、黒幕が、誰かわかっていると言ったわね」
「ああ」
「複数?」
「そうじゃな」
「……」
予想通りだ。
後宮内でしか起こっていない、事件……。
殺されたのは、毒を盛られているのは、皇帝陛下の寵愛を受ける者達……。
「……嵐雪さん」
「何でしょうか」
「早速、お願いしたいことがあります」
―ならば、愛されてやろうでは無いか。
一時の寵妃として……後宮で、生きてやる。
黒幕を引きずり出す道具として、
この命を、賭けてやる。