【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「慧秀兄様、疑問なのですけど」
「ん?」
「祐鳳兄様は、科挙に合格なされたのですか?」
「?、ああ」
「祐鳳兄様は昔から、本を読むのが苦手でしたでしょう」
「おい!なんで、俺の事を兄上に聞く!?」
「慧秀兄様の方が、分かりやすそう」
「お前、俺の事を馬鹿にし過ぎだろう!」
「そうですか?勉強が苦手なのは事実ではありませんか」
「そうだけどよ。自分で受けた試験くらい、説明できる」
「では、教えてくださいませ」
ニッコリと微笑みかけると、顔を引き攣らせた祐鳳兄様。
どうも、翠蓮が亡き母様に見えて仕方ないらしい。
「……まぁ、なんて言うか、武官には武科挙っていうのがあるんだ。慧秀兄上が受けたのは、文科挙。文科挙の恐ろしさは、お前も知っているだろう?一方で、武科挙は指定された課題をこなして、軽い筆記試験を受ければ合格できるんだよ。おまけに文科挙ほど、厳しくない。落馬さえしなければ、受かるよ。正直に言ってね」
「落馬……」
「まぁ、筆記試験は兵法書だったし。兵法書だったら、よく読んでいたからな」
「……」
確かに、亡き父は多くの書物を持っていて、兵法書も沢山あったが。
そんなことより。