【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「気をつけなね、黎祥」
「ああ。すぐに戻ってくる」
外に出て行った黎祥を見送って、水を1口飲む……
「で、あんたの恋人?」
「ぶはっ!?」
……思わず、吹き出してしまった。
「なっ、なんでそうなる訳!?」
「いや、だって……ありそうじゃない?」
「ないないないない」
全力で否定するも、にやあ、と、結凛は楽しそうに笑う。
「……人を、噂のカモにしないで」
「ヘヘッ、ごめんごめん。だって、翠蓮、いつも自分のことは後回しでさ……そんな浮ついた話、何も無いんだもん」
「そんな浮ついた話、一生ないわよ」
はっきり返してやると、
「……結婚とか、しないの?」
と、不安げに、結凛が聞いてきた。
「あのね。どこの世界に、毒草を好んで服毒する女を嫁にしたがる男がいるのよ」
「いるんじゃない?探せば」
「そんなことをしている暇、無いわ。どうしても結婚したい時は……そうねぇ。適当に見繕うわ」
まぁ、一生、ないだろうが。
「ちょっ、この子、放っておいたら、とんでもない人を選びそう!!翠蓮、結婚したくなった時は私に言ってね!?」
「ええ〜」
「翠蓮が心配!分かった!?」
強気で押されて、はぁ、と、翠蓮は頷く。
すると、