【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「……怜世様?」
「あ、これは失礼」
じーっと、翠蓮の顔を見た彼は、
「順大学士から、知識欲の塊のような方だと思っている、と聞いていたもので。それなのに、美しい方だから……少し、陛下が不憫だな、と」
陛下って……黎祥のことなんだが。
最も、そこの関係を彼が知るはずもない。
「美しいなんて、初めて言われましたわ。後宮は幾千の美しい大輪の咲き誇る場所ですし」
「いや……翠蓮様の場合は……」
「え?」
「いえ、何でも。―では、授業を始めていきましょう」
優美な笑顔に、何か誤魔化された気がするが……仕方ないな。
真面目に、授業を受けていこう。
これはまだ、第一段階。
「では、簡単な質問をしていきます。詰まったら、答えを示していきましょうね」
「分かりました」
「では―……現皇帝陛下の名を教えてください」
そこからなのか。
意外と常識的な問題に、
「淑黎祥様です」
と、翠蓮は微笑んで、答えた。
「正解です。あ、次の問題は……でも、後宮にいた、あなたなら分かるでしょうか……ああ、でも、先々帝や先帝の妃もおりますから、混ざっていても仕方ありませんね。一応、聞かせてください」
「はい」
元より、用意してくれていたのか。
紙を見ながら、怜世様は問いかけてくる。