【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
薬師教育 第一段階
「えーと……この草が、腹痛?」
お妃教育休日。
今度は、翠蓮が指導側に立つ。
「そうです。けれど、石楠花の葉は食べてはいけませんよ。吐き気や呼吸困難を引き起こしますから。そして、なんにも考えずに燃やしたり、煮るのもダメです。炊き上がった煙が、猛毒である場合もありますから―……」
お妃教育休日は朝起きてから、午前中はずっとこんな調子。
ただ、ただ、情報を麟麗様たちの頭を叩き込む。
「これは、頭痛?」
「いえ、それは火傷薬ですね。絵を書いてまとめておくと、わかりやすいですよ」
「ふむふむ……うぅ、ごめんね。翠蓮」
「何がですか?」
「折角のお休みなのに、覚えの悪い弟子で」
はぁ、と、大きなため息をつく麟麗様。
(そんなことはないと思うんだけどな。元皇女にしては、吸収の早い方だ)
「気にしないで下さい。どっちにしろ、何かをしておかないと、私も落ち着かないですし。昼食をとったら祥基の話していた、姓を借りれるよう、とある家に頼みに行ってみましょう。帰り際、寄り道してもいいですよ〜」
「ん、ありがとう……頑張るね」
別に、家を貸しておくだけでもよかったんだが……どうしても、人の役に立ちたいらしくて。
そこで、翠蓮の知識の伝授である。