【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
……翠蘭は彼の優しさが、大好きだった。
祥星様と彩蝶が笑い合っている姿を眺めるのが、翠蘭の幸せだった。
息子達のことだって―……。
「祥星様が"いなくなって”、随分、時の経ったの―……」
―黎祥は皇太后につられて、窓から空を見上げた。
初代が生きた時代から、変わらないだろう天穹。
どこまでも広がる、自由な空。
皇太后の言葉にまだ、とあることが隠されていることに、この時の黎祥は気づかなかった。