【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「―じゃあ、道は決まったな」
自分の決意を口に出した杏果ちゃんの頭を優しく撫でて、立ち上がった祥基は、
「なら、まずは腹ごしらえするぞ。杏果」
ニッ、と、笑いかけて。
「そしたら、三日後の入宮に備えて、一通りのおさらいだ」
祥基の動きに合わせて、麟麗様たちも動き出す。
兄様たちが火を炊いて、全員笑って。
「ほら、杏果、おいで」
誰もが、身寄りのない子を迎え入れる。
「……ぇ」
その光景に驚く彼女の横に立って、
「信じる、と、言ったでしょう?」
そう言えば。
「ありがとうっ!」
杏果ちゃんは、満面の笑顔を見せてくれた。
寂しがりで、弱い彼女の為にも、彼女のお姉ちゃんを必ず見つけだしてあげようと、翠蓮は心に決めた。