【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
入宮と約束
***
―ここでは、愛されるための妃にならない。
(私は"薬師として”、妃となる)
そこに、剰余な想いは必要ないのだ。
そう、ほんの少したりとも。
後宮で必要なのは、皇帝に対する忠誠心。
そして、戦えるほどの技量だ。
……翠蓮が黎祥の妃になる選択を捨てて、薬師として、栄貴妃に仕える道を選んだのも、ここにある。
翠蓮には……自分の想いを留める、良い妃であり続けるために最も必要なことが、欠けていた。
―ここでは、愛されるための妃にならない。
(私は"薬師として”、妃となる)
そこに、剰余な想いは必要ないのだ。
そう、ほんの少したりとも。
後宮で必要なのは、皇帝に対する忠誠心。
そして、戦えるほどの技量だ。
……翠蓮が黎祥の妃になる選択を捨てて、薬師として、栄貴妃に仕える道を選んだのも、ここにある。
翠蓮には……自分の想いを留める、良い妃であり続けるために最も必要なことが、欠けていた。