【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「守らないはずがないではありませんか!二つ目は承知し切れないけど……それが、翠蓮様のお望みなら……」
天華は泣きながら、
「命など、惜しくありません。貴女が望むことに、私は従う心づもりです」
蝶雪はしっかりとした面持ちで、
「事情は分かったわ。私も……できることは少ないかもだけど、約束しているからには、守る。あ、でも、翠蓮が私との約束を守ってくれるっていうのが大前提で……」
杏果はどこか、恥ずかしそうに。
翠蓮は立ち上がると、三人を抱き締めた。
「……ごめんなさい。ありがとう」
もしかしたら、自分は今、彼女たちに最低な選択をさせてしまったかもしれない。
死ぬなと言いながら、いつかは死に向かうものに乗せてしまったのかもしれない。
それでも。
例え、彼女たちに翠蓮のせいで、何か起こっても、命に代えてでも守ってみせる。
翠蓮の言葉で、また、嗚咽しだした天華を慰めている内に、今日は終わった。