【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「豹揮!どうして、無視するのよ!」


「卑賤な身の私に、皇族の知り合いはおりませんから」


「しれっと、何言っての!あんたは―……っ」


バッ、と、豹は身を動かして。


麗宝姉上の口を塞ぐ。


「それ以上、言わんでください。麗宝」


「んんー!」


手で口を塞がれた麗宝姉上が慌てる姿を見て、星は真っ青に。


「兄上!皇族に何をしているの!」


「そうよ!あんた、何やって―……」


勿論、翠蓮も焦ってて。


黎祥は嘆息すると、嵐雪や順徳太妃、皇太后や流雲兄上など、関係者以外のものを人払いして。


「―気軽に話せ。豹」


そう、微笑んだ。


すると、


「皇恩に感謝いたします」


豹は笑って。


麗宝姉上を解放した。


「―っ、はぁ。っ、ちょっと!?何すんのよ!」


いつも冷静なはずの麗宝姉上が怒っているのを見て、面食らう黎祥や嵐雪と違い、


「そこ!笑いながら引き攣るな!馬鹿!!」


と、麗宝姉上に怒鳴り散らされるほど、爆笑している流雲兄上。


口元を手で覆っているけど、笑ってるのは隠せてないし……。


「だってっ……アハハハッ!!いっつも、澄まし顔なのに―……っ!!」


どうやら、麗宝姉上の反応が面白かったらしい。


< 448 / 960 >

この作品をシェア

pagetop