【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「豹揮!どうして、無視するのよ!」
「卑賤な身の私に、皇族の知り合いはおりませんから」
「しれっと、何言っての!あんたは―……っ」
バッ、と、豹は身を動かして。
麗宝姉上の口を塞ぐ。
「それ以上、言わんでください。麗宝」
「んんー!」
手で口を塞がれた麗宝姉上が慌てる姿を見て、星は真っ青に。
「兄上!皇族に何をしているの!」
「そうよ!あんた、何やって―……」
勿論、翠蓮も焦ってて。
黎祥は嘆息すると、嵐雪や順徳太妃、皇太后や流雲兄上など、関係者以外のものを人払いして。
「―気軽に話せ。豹」
そう、微笑んだ。
すると、
「皇恩に感謝いたします」
豹は笑って。
麗宝姉上を解放した。
「―っ、はぁ。っ、ちょっと!?何すんのよ!」
いつも冷静なはずの麗宝姉上が怒っているのを見て、面食らう黎祥や嵐雪と違い、
「そこ!笑いながら引き攣るな!馬鹿!!」
と、麗宝姉上に怒鳴り散らされるほど、爆笑している流雲兄上。
口元を手で覆っているけど、笑ってるのは隠せてないし……。
「だってっ……アハハハッ!!いっつも、澄まし顔なのに―……っ!!」
どうやら、麗宝姉上の反応が面白かったらしい。