【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「また、何かあったら、お越しくださいね」
そんな翠蓮の言葉に、伯怜さんは眩しそうに。
「翠蓮様、少し、こちらへ来てください」
「?」
言われたままに、伯怜さんと顔を合わせる。
すると、麗々と妖々に手を握られて。
伯怜さんには、頭突き?される。
「??」
痛くはないけど、意味がわからない。
額と額が合わさった時、
「―貴女に、大きな幸あらんことを」
と、伯怜さんは言ったけど、翠蓮には意味を理解できなくて……理解出来た日、翠蓮は多くを知ることとなる。
「では、また」
にこやかな、不思議な患者たちを見送った後、翠蓮は台所に向かう。
新鮮な野菜をざく切りにしていると、
「お邪魔しましたー!」
元気な子供たちが、外に飛び出していく。
「あれ?もう帰るの?」
「うん!母さんに早く帰るように言われてるから!!」
「そっか、気をつけてね」
元気いっぱい、学書を持って家に帰っていく子供たちを眺め、
「―あいつらは、元気すぎる」
と、黎祥は首を回しながら、ボヤいて。
「フフッ、でも、楽しいでしょ」
「まぁ、な。ところで、さっきの急患は?」
「帰ったよ。黎祥よりひどい傷ではなかったし」
「私もだいぶ、治ったと思うんだがなぁ」
「そりゃ、そうだけどって……何?黎祥、官吏になるの?」
足元に落ちていた、官吏募集の紙。
それを見せ、尋ねると、
「ああ、違う違う。あいつらがなりたいと言っていてな」
「子供たちが?」
意外な、返答が返ってきた。