【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「祥基さんには、そのまま、報告するわよ?」
「げぇっ」
「嫌そうな顔をしない!手紙だって、元気なことしか書いてなかったもの!祥基さんってば、苦笑いしながら、ため息ついてたわよ?」
(…………どいつもこいつも)
幼なじみという幼なじみは、翠蓮を援護することは知らない。
「―おいおい、どうしたんだ?」
「あ、豹。おつかれ」
「おつかれ。―でもなぁ、三人とも?いくら、ここが協力者の順徳太妃の明恩宮で安心しているからって、そういう話を大声でするもんじゃないだろう」
「あ……」
「そうね、確かに……」
「……」
「桂鳳殿、貴方も止めてください」
「えっ、あ、ご、ごめんなさい……」
反省して、口を覆う星と鈴華様。
そして、桂鳳の過去を知っている豹からの言葉に、素直に謝ってしまう桂鳳。
(んー、なんじゃ、この状況……)
頭が痛くなるぞ?―ここにいる、翠蓮除く全員が皇族とか、信じらるまいよ。
「―で?そんなに何を怒っていたんだ、鈴華も」
「それが……翠蓮が体調悪いくせに、嘘しか言わないって、それで……」
言葉を濁す、鈴華様。
鈴華様も、豹の身分を知った途端、敬う姿勢を取り始めて。
麟麗様が前、会えなかったと残念がっていた皇太子は桂鳳の事だったし、会わせることも可能になってきて……もう、色々と、翠蓮の許容量限界である。
「こいつが色々と誤魔化すのは、いつもの事だ」
救いようのない台詞を吐いた、幼なじみの一人である豹は、翠蓮の頭にポンッと触れて。
「翠蓮、こっち向いて、舌、出してみ?」
「あ、……んあ」
翠蓮は言われるまま、豹に従った。