【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「休むのは構わねぇが……一旦、宮に帰るか?翠蓮」
「いや!いやいや!雄星様が待ってるし……」
「……本人がこういうんだもんよ、龍神様」
翠蓮の言葉を聞いて、肩をすぼめる豹。
「翠蓮!」
怒る飛燕は、顔が怖く。
「休まないのなら、無理やり、宮に連れていくぞ」
「無理やりって……その姿で?」
明らかに、少年……いや、幼女?なんだけど……。
勿論、翠蓮を抱えられるわけもなし。
「簡単じゃ」
すると、飛燕は息をついて。
「ほれ」
―……一瞬のうちに、青年となってしまった。
髪の長い、とても綺麗な男性……惚れ惚れとするその姿は、飛龍を凌ぐほど。
「わー!格好いい!」
鈴華様は顔を輝かせて、そう声を出す。
その声で、急な変身に戸惑っていた翠蓮は我に返って。
「って、ダメでしょ!ここ、後宮!!」
「?」
「?、じゃないよ!見つかったら、極刑よ!?」
「儂は龍神じゃぞ?問題あるのか?」
「あるわよ!!」
見た目が男性ってだけで、問題である。
「じゃあ、これか?」
また、変化する。
今度は……絶世の美女に。
「うわ……龍神様、すっげぇな」
「え、いや、感想それ?」
「すっごく綺麗!」
「鈴華様……」
「褒められるのも、悪くないな」
どこか、したり顔。
何だ、この集まり。