【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
愛の決別
『それで……どういうことなの?桂鳳』
『すいません。ここを見てくださいますか』
言われて、見たのは、桂鳳が指さしたところ。
黎祥、翠蓮、桂鳳で設けられたこの場は、桂鳳が黎祥に殺されたと噂の、先帝の皇太子であるということに関しての、真相についての話だ。
書かれていたのは、先々帝の第三皇子の死。
『第三皇子って……第一皇女、麗宝様の双子の弟君のことでしょう?生まれてすぐに亡くなったという……』
『ええ。そうです。私も、母は私を産む代わりに死んでしまったと教えられていたので、そのことに疑問を持ったことは無かったのですが、革命軍がやってきた時、陛下が教えてくれたんです』
桂鳳は黎祥に目を向けると、
『陛下は、私を殺さないでくれました』
と、綺麗な顔に柔らかい表情を浮かべた。
『黎祥に教えて貰っ………………え、って、あれ?』
『お分かりいただけましたか?』
翠蓮は桂鳳の言葉に、ゆっくりと頷く。
おかしい。
この帳面は、間違いなく、おかしい。
麗宝様が双子であったことを知っているものは、誰もがこの帳面に書いてあることを疑うであろう。