【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「翠蓮と似て、変わり者じゃの。そなたは」
「そうかぁ?」
扉を足で開けようとしていると、飛燕が開けてくれて。
「お、ありがとう」
にしても、こいつ、横に立つとめちゃくちゃ、背が高いな?
それは、神様だからなんだろうと、勝手な見解で納得する。
だって、深く考えても、迷宮入りしそうだから。
「……どこ行くのじゃ?」
「隣の俺の部屋で寝かせてくるよ。……よっぽど、疲れているみてぇだしな」
外に出ると、太陽の光に当てられて、尚更、翠蓮の疲れ切った顔が際立って。
母親譲りの美貌は、やつれてる。
「本当阿呆だろ……こんなになるまで、一人で耐えやがって」
でもまぁ、この点においては黎祥も同じことを言える。
隠してあったけれど、あいつも疲れ切った顔をしていた。
こいつらは揃いも揃って、他人に弱音を吐けねぇように成長してしまっていて。
それは生まれ育ってきた環境のせいなので、祥基には何も言えないが……。