【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「翠蓮もだけど、あんたも本質的に何も変わらないからさ、確かに翠蓮も心配だけど、祥基のことも心配してんのよ?これでも」
「そーかい、それはわざわざありがとうな」
水のお代わりを要求すると、近くにあった棚から小さい水瓶を持ってきて。
「心配しなくても、俺が好きなのは翠蓮じゃない。それに……俺の好みは、麟みたいな女で……」
「はあ!?」
結凛が祥基の言葉を聞いて、大声をあげる。
「っ、うるせーな!何だよ!!」
耳元で叫ばれて、思わず、大声を出してしまう。
「だって!だって!!」
「悪いのか!?」
「いや、悪くないよ?悪くないけど……っ!!私、嬉しい」
「はあ?」
意味がわからない。
そして、この串焼き素麺、本当に辛い。
「―あの、お二人共、どうかなされたのですか?」
「麟麗」
「大声を出されるから……どうしたのかと。大丈夫ですか?」
遠くの席、黎祥の近くの席から寄ってきた麟麗は祥基の器の中を覗き込むと、
「……すごく、真っ赤ですね」
と、目を瞬かせた。
「辛くてしょうがねぇ……」
「……叔父上にお願いして、交換してもらいます?叔父上、辛いものが得意ですから」
少し考え込んだ後、そう言った麟麗は黎祥の元に駆け寄っていって。