【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
幼なじみだから
「ふぅ……」
眠りに落ちた翠蓮を褥に寝かせ、祥基は肩を回す。
図体ばかり大きくなって、中身は変わらない翠蓮。
泣き虫で、強っぱり。
「―んで、いつになったら出てくるわけ?黎祥"様”」
祥基は背後を振り返り、嫌味を込めて呼んでやると、顔を出した黎祥。
「祥基、君って、中々に意地悪だよね」
苦い顔をしながら顔を出した彼は、
「……君達はそういう関係?」
とか、アホなことを言い出した。
「…………は?」
「え、違うのか?」
「いや、逆にどこをどう見て、そう思った?」
「えっと……君の、『好きなら、好きでいい』の辺り?」
「うわっ、最悪」
「え?」
なんて、間が悪いんだと、祥基は顔を顰めた。
「何で、そんな所から聞くかねぇ……」
「いや、たまたま帰ってきたのがそこだったって言うか……何か、ごめん」
「……謝るのは、俺にじゃねぇだろがよ。黎祥"様”」
はぁ、と、大きなため息をついて、祥基は黎祥を見据えた。