【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
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「すげーな……騒ぎが」
かつての王が国全体を見たいなどという、無茶振りな要求をし、そんな王の要望を唯一叶えた宮は言葉通り、城下全体を見渡せる造りとなっていて。
その宮の窓から城下を、隣国の王二人は狼狽眼で見ていた。
「まぁ、修儀から皇后への高速出世(スピード出世)ですから……それに、もっと、大きな原因としては第一皇子の、皇太子の誕生ですからね」
こうなるのは当然です、と、既に妃も子ももうけている蒼波国王は微笑んだ。
「でも、その皇后様は謁見を断っているそうじゃないか」
長蛇の列の皆々様を相手にしているのは、数少ない女官たち。
挙句、断りきれずに貰ったものは、全て下賜する始末。
生意気だとか、調子に乗りすぎだとか、李家の一人勝ちだとか、まぁ、色々な新皇后に対する噂は飛び交っているが、当の本人は今まで通り、宮に閉じこもったまま。
「仕方ありません。まだ、出産から三日ほどでしょう?流石に対応しきれませんよ。皇后になったことで、侍女も増えるでしょうし……」
そんな李皇后を気遣う言葉を言った蒼波国王に、
「―いや、それが、全部断わっているらしいのよ」
と、突っ込んだのはここにいるはずのない人。
「うわっ、びっくりした!どっから現れた!?」
驚いた新陽国王が窓から遠ざかると、その窓辺に肘ついて、
「普通に、そこの扉からだよ。相変わらず、可愛いね。蒼月様は」
と、からかうような視線を投げる。
「すげーな……騒ぎが」
かつての王が国全体を見たいなどという、無茶振りな要求をし、そんな王の要望を唯一叶えた宮は言葉通り、城下全体を見渡せる造りとなっていて。
その宮の窓から城下を、隣国の王二人は狼狽眼で見ていた。
「まぁ、修儀から皇后への高速出世(スピード出世)ですから……それに、もっと、大きな原因としては第一皇子の、皇太子の誕生ですからね」
こうなるのは当然です、と、既に妃も子ももうけている蒼波国王は微笑んだ。
「でも、その皇后様は謁見を断っているそうじゃないか」
長蛇の列の皆々様を相手にしているのは、数少ない女官たち。
挙句、断りきれずに貰ったものは、全て下賜する始末。
生意気だとか、調子に乗りすぎだとか、李家の一人勝ちだとか、まぁ、色々な新皇后に対する噂は飛び交っているが、当の本人は今まで通り、宮に閉じこもったまま。
「仕方ありません。まだ、出産から三日ほどでしょう?流石に対応しきれませんよ。皇后になったことで、侍女も増えるでしょうし……」
そんな李皇后を気遣う言葉を言った蒼波国王に、
「―いや、それが、全部断わっているらしいのよ」
と、突っ込んだのはここにいるはずのない人。
「うわっ、びっくりした!どっから現れた!?」
驚いた新陽国王が窓から遠ざかると、その窓辺に肘ついて、
「普通に、そこの扉からだよ。相変わらず、可愛いね。蒼月様は」
と、からかうような視線を投げる。