【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
先々帝
「結凛!」
お祭り騒ぎの中、賑わう店。
「俺も手伝う」
「本当?助かるわ!」
急遽、卓などを取り寄せる騒ぎだから、何事かと思ったが―……まさか、ここまで騒ぎになるとは。
途絶えることの無い客足に走り回る、面々。
「大丈夫か?麟」
「わ、私は大丈夫です!鈴華たちは……」
「大丈夫よ、姉様」
器用に動き回るちびっこ達は、お客様に愛嬌たっぷりの笑顔で対応する。
昼時のせいか、客は絶え間なくやってきて……朝まで、仕舞い切れなかった材料が昼時を過ぎる時には尽きてしまい、忙しさを目立たせた。
「あー、疲れたよ」
どっかりと椅子に腰をかけて、大きなため息をついた結凛の両親。
「本当ね……こんなこと、初めてだわ」
結凛もまた、産後とはいえど、体力は完全に戻った訳では無いので、息が上がっていて。
「私、患者さんを見てきます」
「あ、俺も行くよ。麟」
「そんな、祥基さんは休んでおかないと―……」
「この騒ぎだから、揉め事も起こりやすい。それに、そんなに疲れていないから大丈夫だよ」
一方で、元気の良い麟麗は診察所に向かおうとして、祥基に止められた。