【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「……黎祥」
―安心できる、貴方のこの暖かい腕の中に。
名前を呼ぶと、黎祥は一層、優しい顔をした。
「愛してる」
言葉をもう一度繰り返すと、無言で、慕わしい端正な面差しが近づく。
「―……」
淡く蕩けた温もりに、全て委ねる。
この世には悩みは沢山あって、これから何度も嘆き、立ち止まることがあるだろう。
それでも、この人となら生きていけると、
この人がそばに居るのなら大丈夫だと、
根拠は何もないけれど。
些細な事でも幸せを感じてしまう、
貴方への想いは大切にしようと思った。