【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
***


「そうか。叔父上と、皇太后が……」


「ええ。びっくりしたわ。やっぱり、飛燕たちって凄い存在なのよね……」


「まあ、神だしな……にしても、よく寝るな。我が子ながら」


寝台の上で、間に遊祥を挟み、横になる。


最近、日課となっている就寝方法だが、黎祥は翠蓮が眠りにつくまでは決して眠らず、優しく、頭を撫でてくれる。


その手はとても安心するもので、不安を吐露すると、それを上回る優しさで包んでくれる。


その事が酷く心地よく、翠蓮は真実を知っても、心を保っていられたのはそのおかげだ。


「―ああ、そうだ。昼間は叔父上がいたから言えなかったが、例の件、皇太后が承知したそうだ」


「本当?」


「ああ。それにしても……本当にやるんだな?」


「ええ。……私の本当の母親が、後宮に居るとしても……やらなければならないことよ」


「……大丈夫か?」


気遣うような、色んな人から投げかけられる言葉。


優しく頬を撫でられて、それに甘えるように擦り寄る。


「そうね。……少し、苦しい」


素直に言うと、黎祥は寝台から起き上がって。


そして、


「翠蓮も、おいで」


と、手招きしながら、長椅子に腰を下ろした。


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