【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「貴方が国を投げ出せば、それを拾うのは誰?拾うために、また、どれだけの血が流れる?ねぇ、私の愛した人達が、どれだけ死んでいくの」
革命を、感謝している。
父の仇が討てた。
国の滅ぶ未来が、薄まった。
―でも、血が流れなかったわけじゃない。
翠蓮の大切な人達が、死ななかったわけじゃない。
「貴方を愛してる。でも、私の一存で……ううん、私の存在で、あなたがこの国を捨てるのなら!私はその瞬間、この国と滅ぶ道を選ぶ!!」
それは、最大の脅しだった。
伝えるつもりのなかった想いで、貴方が帰ってくれるなら。
この国を、救ってくれるなら。
真正面から見つめると、黎祥は息を呑んで。
「……っ、私を、脅すのか」
と、震えた声を漏らした。
「……ごめんなさい」
翠蓮も、限界だった。
すると、黎祥の手が伸びて。
翠蓮の身体は、いとも簡単に彼の腕に抱き締められてしまう。
「黎祥……」
「―愛してる」
「……」
黎祥の肩に、触れた。
黎祥の手は、微かに震えていた。
翠蓮の瞳から、涙が溢れた。
「……私は、あなたの味方だからっ」
「……」
「何があっても、世界のどこにいても、貴方の味方だからっ」
だから、頑張って。
この国を守って。