【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
―愛晶は、自らの喉元に短刀を突きつけた。
ねぇ、廉海。
私、貴方と行ってもいいかしら?
燃え上がる火の中で、
彼女は婚礼衣装を身につけて、微笑み続けてた。
『馬鹿だな、愛晶』
頭を撫でる手に、心をときめかせたあの日に戻りたい。
『馬鹿だ』
クシャりと笑った彼は、婚礼衣装を身にまとった若かった頃の愛晶を抱きしめて。
『―守ってやれなくて、すまなかった。愛してるよ、愛晶』
あの日くれた、簪を挿してくれた。
心満たされた愛晶は、涙ながらに笑って。
『私も―……』