【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
両親は妹が皇族と親しいことを理由に、もっと存分に可愛がった。
兄がいたけど、その兄も武の才に愛されていて、その皇子である彼とは仲が良かった。
しかも、兄もまた、正妻の子供だったんだ。
何の接点もなかったのが私で、他家から養女としてやってきた女でさえ、両親の中では、私より上だった。
理由は、未来の皇后だから。
彼の兄―後に皇帝となる人に気に入られていた彼女は思慮深く、両親の娘だからといって、家に帰ってくるわけではなかったけど……家に従う家、要するに、彼女の家は皇后を出せるほどの家ではなかったから、私の家を使ったということ。
そのせいで、一番上であるにもかかわらず、私は売られたの。
出来の悪い娘だからって。
身持ちが悪いからって。
妹は泣いてくれたわ。
でもそれで、私の心が治まったと思う?
―そんなはず、ないじゃないの。
売られた花街で、かなり歳を食っていた私は疑心暗鬼な心を持ったまま、品定めされた。
成人したばっかりだったけれど、それでもダメだったみたい。
驚きよね。
妖艶な美女が沢山いたわ。
優しくしてくれた姐もいた。
それでも、埋められない何かがあった。
年も年だったから、私はすぐに客を取らされた。
知らない男と寝ることに抵抗もなかったわ。
きっと、心の中に両親への復讐心があったからだと思う。
いつか、見返してやると。
花街には御大尽だって潜んでいる。
それを見極めて、撓垂れ掛かればいい。
そう、ずっと、思ってたんだ。
そうすれば、愚かにも見返せると信じていた。
自分の容姿に自信があるわけではなかったけれど、宮廷一の美少女と話題だった妹と血は繋がっていたんだもの。