【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
(―……許さない)
また、蘇る。
貴方と出会って、捨てたはずの歪んだ私が。
―火が消え終わった家から出てきたのは、両親と思われる男女の遺体だった。
("私”はいつだって、不幸を招く―……)
莉娃が近づいたところに、災悪は訪れる。
莉娃は、好きで妾の子供に生まれたわけではなかった。
好きで、あの家に生まれたわけではなかった。
好きで、売られたわけでもなかった……。
なのに……、なのに。
……どうしていつだって、天は莉娃にこんなにも色んなことを振り掛からせるのだろう?
昔読んだ、本の一説にあった。
"天は人に試練を与ふ。出来ぬことなど、与えはせず”
―じゃあ、私じゃなくてもいいじゃない?
どうして、試練を与えられたのが妹じゃなかったの?
のうのうと生きて、世間の闇を知らない人は、この世に多くいるだろうに、どうしてその人たちに、天は試練を与えなかったのだろう?
どうして、私だったの?
私じゃなければいけなかった理由が、
特別さが、私にあって?
調べられた結果、火付けは他者のせいだと言われた。
そして、下手人は女だったと。