【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「―遅くなったけど、誓うよ。君を生涯、愛し抜く」
「……っっ、」
「一緒にいよう。老いた、その先も」
抱き上げられて、顔を覗き込まれて。
「夏艶」
本当の名前を、唯一呼んでくれた人。
優しく、呼んでくれて……唯一、夏艶を守ると言ってくれた人。
何度も、何度も、貴方のその赤い瞳の奥に恋をした。
貴方の温もりを失って、陛下と見えた時ですら、貴方を思い出して泣きたくなるほどに、貴方を忘れられなかった。
「愛してる」
ずっとずっと、夏艶が言えなかった言葉。
素直になれなくて、恥ずかしくて。
それでも、ずっと伝え続けてくれた貴方の事を、私も―……
「愛しています」
―ずっと、ずっと、会いたかった。
この手の温もりを重ねあえる幸せを噛み締めながら、
夏艶は彼を受け入れた。