【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
***
「そうか。呉妃に会ったか」
回廊にて。
皇后として、皇太后に呼び出された翠蓮は彼女の後ろを歩きながら、久々の会話を交わす。
「ええ。ちゃんとお話したのは初めてですが、綺麗な方ですよね」
「後宮だからな」
「フフッ」
元も子もないことを……と思うが、確かにその通りだ。
国内で美しく、教養と身分があるものが集められるんだから、当然のこと。
「ところで……急なお呼び出しでしたけど、何かありましたか?」
こんなふうに呼び出されるのは、滅多にない。
皇子に会いたいとかいうのでも、皇子直接に伝令を出せば、蝶雪が対応してくれるだろうし。
「少しな」
皇太后―翠蘭様は、笑みを漏らして。
焦らす翠蘭様についていき、かなり歩いた。
下町で鍛えた足腰があるから、全然、元気だけども。
向かった先は、後宮内でもかなり見通しが良いと思われるところ。
そこに並んだ、墓石たち。
「……罪人以外で、火葬になるものは有り得ぬ」
「……」
そこが、何を表すのかはすぐに分かった。
ここは、瑞鳳殿の裏側だ。
「そなたの実の母―尹妃も、鳳雲様もここで眠っておる。祥星様と鳳雲様の母君もな」
定められた者以外、入れぬところ。
「そうか。呉妃に会ったか」
回廊にて。
皇后として、皇太后に呼び出された翠蓮は彼女の後ろを歩きながら、久々の会話を交わす。
「ええ。ちゃんとお話したのは初めてですが、綺麗な方ですよね」
「後宮だからな」
「フフッ」
元も子もないことを……と思うが、確かにその通りだ。
国内で美しく、教養と身分があるものが集められるんだから、当然のこと。
「ところで……急なお呼び出しでしたけど、何かありましたか?」
こんなふうに呼び出されるのは、滅多にない。
皇子に会いたいとかいうのでも、皇子直接に伝令を出せば、蝶雪が対応してくれるだろうし。
「少しな」
皇太后―翠蘭様は、笑みを漏らして。
焦らす翠蘭様についていき、かなり歩いた。
下町で鍛えた足腰があるから、全然、元気だけども。
向かった先は、後宮内でもかなり見通しが良いと思われるところ。
そこに並んだ、墓石たち。
「……罪人以外で、火葬になるものは有り得ぬ」
「……」
そこが、何を表すのかはすぐに分かった。
ここは、瑞鳳殿の裏側だ。
「そなたの実の母―尹妃も、鳳雲様もここで眠っておる。祥星様と鳳雲様の母君もな」
定められた者以外、入れぬところ。