【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「それで、翌日には」


「そうだな。円皇后の遺体が見つかった。今回の事件を見返してみると、本当にいろんな事件が重なっただけの事だったな」


「……そうね」


始まりは、碧晶が殺してしまった表貴人の死。


それに乗っかるように、栄貴妃たちによる、栄家当主の不自然死。


明らかになっていく、先帝の最期の時。


そして、明景という名の、不思議な女官。


誰かに愛されたいと願うばかり、蘇貴太妃の宮に火を放ったり、愛されている寵姫に毒を使ってみたりとかした、蘭花さん。


双子の片割れの凶行知っていながら、何も動かなかった女官長の紅翹さん。


比べられ、自由もなく、売られてしまって……この後宮の中で必死に生きようとしていた莉娃お母様。


その他にも多くの……ただ、ただ、己の幸せを願った人達。


その願いは絡み合い、とてつもない化学反応を生み出した。


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