【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「分かってます。―復讐のためとはいえ、私は彼女を……栄貴妃様を利用してしまった。それを謝りたかったのに、機会がなくて……」
「まぁ、色々とあったからね。とりあえず、無事で双子と幸せに暮らせているのなら、良かったわ」
「陛下と翠蓮様のおかげですよ。双子とは……永遠に、親子のように過ごせないと思っていましたから」
優しい顔で双子の頭を撫でる明鈴は、先帝を愛していなかったとは言っていたけれど、それでも、双子のことは愛しいらしく。
「―ねえ、翠蓮!紹介したいのだけど!」
その様子を安堵しながら見ていると、鈴華様に話しかけられた。
「何ですか?」
「叔父上にも相談したかったの!どうせなら、おじい様やお祖母様も混じって!」
鈴華様は元気よくそう言って、先々帝と皇太后にも手招きする。
二人は不思議そうな顔をしながらも、翠蓮たちの元にやってきて。
「それで、話とはなんなんだ?鈴華」
麟麗様とは未だに上手く接することが出来ないらしい先々帝は、鈴華様とはそれなりに良い関係を築けているらしく。
気軽に話しかけると、鈴華様も笑顔で。
確かに彼女は気さくで、付き合いやすい類の人間だろう。
そこは、先々帝譲りかもしれない。
何より、皇女と言っても、まともに皇女として生活できていたのは物心がつくかつかないかくらいの幼い頃の話だし、麟麗様みたいに母親の記憶が鮮明にある訳でもないだろうから。