【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―




「私、結婚したいの!」


翠蓮があれこれと考えていると、落とされた爆弾。


「「はっ!?」」「何ですって!?」


―流石に、それには先々帝、皇太后、黎祥は同じ反応。


齢十の鈴華様は笑顔で、


「求婚されたの。だから、今は婚約という形で」


なんて、言うし。


「あら、まあ……」


明鈴は予想外でも、大して驚いてなかった。


驚き半分、面白半分って感じ?


口元に手を当てて、笑ってた。


「ねーねー!豹兄!けっこん?、ってなーに?」


宵琳様はそんなことを豹揮に尋ねて、


「それはね、男の人と女の人がずっと仲良く一緒にいることだよ。大切な人と居る時に必要な関係の名前が、結婚、っていうんだ」


豹揮はそんなふうに答えるし。


いやいや。


もし、宵琳様がまだ、普通の皇女として後宮にいたのなら、そんな可愛らしい説明では済まない話である。


皇族とか、権力者の間でなる結婚において、そんな夢や浪漫はない。


「翠蓮は驚かないの?」


鈴華様は驚いている黎祥、先々帝、皇太后を面白そうに眺めながら、尋ねてきて。


「驚くというか……鈴華様が幸せならいいんじゃないかと思ってます。とりあえず、お相手次第ですね。お相手を紹介しないと、おじい様もお祖母様も黎祥も納得してくれないと思いますよ?」


そう言うと、鈴華様は考え込んで。



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