【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「─紫京」
「......っ!」
深い世界から、強制的に引きずり出されるような。
兄の言葉で目覚め、紫京は顔を上げた。
「お前、寝てたのか?大丈夫か?」
「は、はい......すいません」
「いや、疲れているのなら、ちゃんと寝台で休めよって言ってるんだ。寝ていたことを責めている訳ではなく......大丈夫だな?」
「はい」
異母弟にも優しい、兄上。
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