その悪魔、制御不能につき



それから目が覚めてからの数日間はいろいろな意味で思い出したくもない。だがしかし、これ以上もないほどに濃厚かつ刺激的でまさに骨の髄まで体に刻み付けられたために忘れるのも不可能という…ね。思わず遠い目をしてしまう。


嫌がろうが拒絶しようが全く歯が立たなかった。全ての意味ある言葉は自分でも砂糖を吐くほどの甘ったるい意味のない声になったし、睨みつけた瞳はとろりと潤み、反抗的な態度は快楽の前に屈服した。


しかもそれが食事とかの生理現象、つまり人間に最低限必要な時以外ずっと続いたのよ?睡眠とかほぼ気絶と同義になってたし。


寝るその瞬間までもうやめてと許しを乞うた相手に体を揺さぶられながら快楽に落とされて、起きたら起きたで官能を引き出すような手つきで体中弄(まさぐ)られて、それがずっと続けばさすがの私も精神的に折れる。しかもそれが私と付き合うためだけに行われたのだから恐ろしいやら呆れるやら。


そして現在、付き合うことを了承した発言でとりあえず満足したのか、快楽という名の悪夢からやっと解放されて私は酷使された体をぐったりと横たえていた。


社長ってば本当に人外じみてる…何よあの体力。私と同じだけの運動してて追加できっちり仕事こなしてまだ余裕ってどういうことよ。おかしいんじゃないの。



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