その悪魔、制御不能につき
◇おかげさまで地獄を見たわ
「お久しぶりでもないですが、長い間顔を合わせなかったように感じますねぇ。鷹斗との日々はいかがでしたか?」
「おかげさまで地獄を見たわ」
「おやおや、それは良かったです」
発言が微妙にえぐい。地獄を見たって発言に対してよかったとはその心やいかに。聞きたくはないが。絶対に聞いたら後悔する。
そしてこの穏やかな笑顔にはもう騙されない。まぁ前から騙されてはいないと思うけど、今回のことでますます信じてはいけないと骨身に染みた。
据わった目で都築さんを見れば自然に返される美麗な微笑みに軽く殺意が湧いたけどきっと私は悪くない。
なんだかんだで自分の都合…いや、どちらかというと社長と都築さんの策略に嵌まったのだが、なんであれ一週間休んだことには変わりなくその遅れを取り戻そうと仕事に集中する。
その合間にも社長とのことを考えてみるけど、これやっぱり手遅れになる前にどうにかしないといけないわよね。いくらなんでも社長の相手に私みたいな一般市民は駄目だわ。自虐とかではなく客観的に見て。
ただ私はそう考えているけど社長たちは多分、逃がすつもり、ないんだろうなぁ…