その悪魔、制御不能につき



イメージとしては都築さんって人を好き嫌いで判断するって言うよりも気に入ったかどうでもいいで判断してる人かと思った。あ、そこは社長も同じだけど。血の繋がりがあるだけあってそういうところ地味に似てるのよね。


穏やかで誰にでも同じ態度だからみんなに優しいとか紳士的だとか聞くけど、あれ、多分どうでもいい人たちだからじゃないかしら。もちろん会社の人たちとかを大切に思ってるのはわかるけど、それはあくまで副社長としての立場からであって個人として思うならどうでもいいんだと思う。興味がないとも言えるわね。


だからこそ気に入ったものに対しては執着が激しくなる。社長と同じ。違うのは本能的に動く社長に比べて都築さんの方が理性的ってところかしら?その分ある意味では社長よりタチが悪いけど。



「…まぁ理由はわかったわ。私だって自分の身は可愛いもの、大人しくしてるわ」



どれだけ危険なのかとかいまいち理解はできないけど女の嫉妬が恐ろしいことは過去経験してるし、それが社長がらみでしかも金持ちってだけでさらに面倒なことになるのは予想できる。こういう時は任せるに限るわ。


何より都築さんが鬱憤晴らしのために動いてるのを知りながらそれを阻害するような行動を取るかもしれないとか……無理。考えるだけでもう、無理。怖い。だってあの笑顔で絶対ネチネチ言うもの。


社長に付きまとっている女よりも都築さんを恐れるとはこれいかに。でも無視できないことよね、これ。本当に怖いんだもの。



「ただ、ここでもできる仕事は回して」


「…………」


「その明らかに不満ですって顔やめてくれる?」



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