その悪魔、制御不能につき



死ぬ程体を酷使されてこれ以上をする気は私にはない。肉体労働反対。私もともと頭使う方が得意だったんだからそろそろ仕事をさせてほしい。仕事の勘みたいなものも鈍るの嫌だし。


嫌がる社長から無理やり仕事をもぎ取ってなんとか自宅(社長の家だけど)でできることをする。早く外出てちゃんと仕事に戻りたいわ…


私がいる間はお手伝いに来てくれる人は来ないらしく、出前を頼もうとした社長を止めて私が料理を作ることにした。だって社長さすが金持ちなだけあって私が知ってる出前の桁が違うのよ。それを毎回食べるとか奢りだとわかってはいても怖いわ。こういう時自分は一般庶民だってしみじみ思う。


社長に断って冷蔵庫の中も見せてもらう。食材すら高級そうなんだけど、これはまだ値段がわからないから使える。ただ言っておくけど私の料理スキルはそんなに高くない。普通に一人暮らししてる人の平均だ。


だから社長は普通に出前でもよかったけど私が自分の分は自分で作ると言ったら社長も食べたいと言いだして…あとで文句言っても知らないわよ。


そんな生活を続けてしばらく。食材も服も下着もいつも通販だから困らないけどいい加減に飽きてきたわ。きのこ生えそう。



「ねぇ、まだ駄目なの?」


「あぁ」


「もしもう外出しても大丈夫なのに閉じ込めてたら別れるわよ」


「そんなことしてない」



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