その悪魔、制御不能につき



そう、と返しながら今日の夕飯を口に運ぶ。社長って嘘はつかないから無理だと言うのなら無理なのだろう。いつまで待てばいいのかしら。


この件に関しては社長よりも都築さんに聞いた方がいいかもしれないけど、都築さんは仕事しているわけだし、プライベートの番号知ってるわけでもないから電話しにくいのよね。



「ご馳走さま」


「はいはい、お粗末さま」



食器を片してのんびりとした時間を過ごしていれば、それが当然のようにくっついてくる社長。剥がしても無駄なのは学んだ。これは放置に限る。


こうやって一緒に住んでみて改めて思ったけど意外に社長ってかまってちゃんなのよね。あまりしつこいと私の機嫌を損ねることはわかってるみたいだからほどほどにだけど、どこかしらに触れていたがるっていうか。嫌じゃないから特段気にしてないけど。


のんびりと過ごしていれば社長のスマホがテーブルの上で振動する。私の方が近かったので手に取って渡せば微かに「鷹斗ですか?」という声が聞こえる。この声は都築さんね。久しぶりに聞いた気がするわ。


詳しいことは聞こえなかったけどどうやら私が関係する話のよう。都築さんが蛇蝎の如く嫌っているお嬢さまの話かしら。私の無事な外出のためにも早くどうにかしてほしいけど、どうなっているのか。


頃合いを見計らって社長に都築さんに代わってほしいことを伝えたけどしれっと切られた。何勝手に切ってるのよ。社長が詳しく話してくれなかったからでしょうが。その顔やめて。



「輝夜もいい加減俺のこと名前で呼べ」


「そのうちね」


「………抱くぞ」


「は?ちょ、っ」



抱いてるときには名前呼ぶからって強要するのやめてくれる?!


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