その悪魔、制御不能につき
布団にくるまってうとうとと微睡んでいれば唇に柔らかいものが触れてぬるりと口内を熱いものが撫でる。意識が曖昧でもそれが社長だとわかってこちらからも少し応えてから目を開けた。
「なに……?」
「朝だ。仕事行ってくるから」
「、ん…」
「今日…から…、ったか?…や、」
ダメだ。眠くて何を言っているのかわからない。これが仕事なら真面目に聞くけどプライベートだしわざわざシャキッと覚醒してまで聞きたくない。
うんうんと適当に相づちを打ちながらまたしても私は心地よい眠りに落ちた。
そして目覚めてみれば朝の10時。うん、寝坊したわ。だがあえて言い訳するとしたら昨夜の社長が悪い。意地を張った私も多少の責任があるかもしれないが、それを踏まえても名前を何度も呼ばせるまで寝させないとか悪魔か。
ベッドの上で一度ぐっと体を伸ばす。なんだかこの監禁…もとい保護生活で外には出ていないのに体力がついた気がするわ。ほぼ毎晩だものね…そりゃあ体力も否応なくつくわ。
若干震える足を激励しながら軽くシャワーを浴びる。着替え終わってこの時間だとブランチになりそうだと考えながら食材を切る。面倒だし簡単にパンとオムレツとサラダと…あと何か一品作ろうかしら。