その悪魔、制御不能につき



休日を挟んで翌々日、いつものように出社して会社の空気がどこか違うのを感じて違和感に眉をひそめる。なんていうか、浮かれてるわ。全体的に。


何があったのかと耳をすませてみればどうやら昨日急に社長と副社長が変わったとか。マジか。秘書課にいて何も聞いてなかったんだけど。連絡もきてないし。


なぜこんな急になったのかと言えば前社長がこの会社の社長に納まっているのに飽きたらしい。嘘だろおい、それって社会人としてどうなんだという心の叫びは飲み込んだ。長いものには巻かれておく主義なのだ。


それで前々から決まっていた現在の社長にさっさと引き継いで自分はすでに空の上…バカンスですか、元社長。羨ましい。


それでなぜ副社長まで変わっているのかと言われれば現社長が連れてきたらしい。まぁ前は社長秘書兼副社長の肩書きだったんだからある意味で楽になったんじゃないだろうか。…社長秘書はそのままなのかしら。


とりあえず平社員ならともかく秘書課の人間として社長が変わったのなら挨拶に行くべきだろうと心なしか歩みを早める。



「おはようございます」


「あっ、斉木さんきた!」


「ちょっと、昨日すごかったわよ!」



きゃあきゃあといつもは静かなここも昨日の影響を受けているらしい。そんなに騒ぐことなのか…いやまぁ驚きはしたけど。



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