その悪魔、制御不能につき



後輩に了承をとって冷蔵庫の中からオレンジジュースを注いで哉瑪に渡す。こくこくと大人しく飲む様子は可愛いんだけどねぇ…



「哉瑪、よく寝れた?」


「うん、」



こくり、と頷いた哉瑪の額を撫でる。サラリとした髪質は社長譲りね。というか哉瑪がまんま社長を小さくした感じなんだけど…社長の小さい頃もこんな感じだったのかしら?いや、社長のことだしこの可愛げは皆無ね。



「あのね、かーさん」


「何?」



オレンジジュースの入ったコップをテーブルに置いて哉瑪を膝に抱き上げる。この前まで小さかったのにいつのまにか大きくなるんだから。


表情が薄いながら心地好さそうに頭を胸に預ける我が子に愛しさを感じながら頭を撫でる。十年もしたらできなくなるのだから今のうちに愛でておくに限るとは私の母親の談だ。可愛げなくて悪かったわね。



「とーさんがね、かーさんといっしょにねると、気持ちよくて、よくねむれるって言ってたよ」


「……そう」



あの野郎。まだ小さい子どもになんてことを言っているんだ。絶対に社長下の方で言ったわよ、これ。



「ぼくもね、うーのとなりだとよくねむれて気持ちいいんだ」



とーさんといっしょだね、と少しだけ口角を上げる姿は珍しい。好ましく思える人ができたのはいいことだけど…そこはかとなく不安になるわ。社長の血筋には抗えないのか。



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