その悪魔、制御不能につき



羽華ちゃんと日中に遊んだせいかいつもよりも早く寝付いた哉瑪を部屋に残してリビングに戻る。



「哉瑪は?」


「もう寝たわ。よっぽど羽華ちゃんと遊んだのが効いたのね」



そうか、と言った社長は私の腕を取って足の間に座らせて抱きしめてくる。最近この格好お気に入りなのよね。前からしていたといえばそうなんだけど。



「輝夜」


「なに?」


「…輝夜、」


「…あのね、名前連呼する前にちゃんと言ってくれる?」



なんでもかんでも思ったことを言うくせになぜこう言う時は無言、でもないけど遠回りな催促をするのか。



「鷹斗」



ため息をつきながらも社長の名前を呼べば嬉しそうに少しだけ表情を緩める姿になんとなく毒気を抜かれてしまう。弱いのよね、社長のこういうところ。自覚はあるけど治せないのが少し悔しいわ。


ぎゅうぎゅうとぬいぐるみのように抱きしめられてちょっと苦しいとぺしりと腕を叩いてみるけど効果はない。知ってたけど。


遠慮なく背中を社長に凭れて未だにこの状況が不思議だわ、と内心で独りごちたつもりが口に出ていたらしい。こういうことを言うと社長が少し不機嫌になるので気をつけていたんだけど…なんでも自分との未来を考えていないように感じるらしい。まぁ、間違ってはいなかったわね。



「怒らないでくれる?だって私からしてみれば鷹斗って雲の上の人だったんだもの。初めの印象は悪魔だったし」


「悪魔?初耳だ」


「あら、そうだったかしら?」


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