のばら
自分の好きなひと――有名無名問わず――の名前やグループ名の新しいロゴを考え、彩色して仕上げるという課題に前々回から取り組んでいた。
倉科さんの言葉にうなずこうとしたとき、ひらめくものがあった。
「んー…寂しいっちゃ寂しいけどね」
あたしは倉科さんに曖昧な笑みを投げてみせる。
勘の良さそうな彼女は、ピンときた顔をした。声をひそめて顔を寄せてきた。
「それとも、もしかしてひとりのが楽だったりする?」
我が意を得たりと、あたしはほくそ笑みたくなる。
「まあ…いろいろ、ね」
胸がどきどきした。あたしって、こんなふうに振る舞うことができるんだ。
「なになに? 何の話?」
倉科さんの隣りの井田さんも身を乗りだしてきた。
「いやほら、今日佐々木さんいないから…」
「あー、いっつも真田さんにべったりだもんね」
「いないならいないで、身軽でいいみたい」
倉科さんがばっちりフォローしてくれる。もしかして、彼女ものばらに対して思うところあるのかな。
「まあたまにね、ちょっと疲れるときが」
アクリル絵具のにおいの中で、あたしは注意深く印象操作をはかった。
ねじれた心が、きしんだ音を立て始めていた。
倉科さんの言葉にうなずこうとしたとき、ひらめくものがあった。
「んー…寂しいっちゃ寂しいけどね」
あたしは倉科さんに曖昧な笑みを投げてみせる。
勘の良さそうな彼女は、ピンときた顔をした。声をひそめて顔を寄せてきた。
「それとも、もしかしてひとりのが楽だったりする?」
我が意を得たりと、あたしはほくそ笑みたくなる。
「まあ…いろいろ、ね」
胸がどきどきした。あたしって、こんなふうに振る舞うことができるんだ。
「なになに? 何の話?」
倉科さんの隣りの井田さんも身を乗りだしてきた。
「いやほら、今日佐々木さんいないから…」
「あー、いっつも真田さんにべったりだもんね」
「いないならいないで、身軽でいいみたい」
倉科さんがばっちりフォローしてくれる。もしかして、彼女ものばらに対して思うところあるのかな。
「まあたまにね、ちょっと疲れるときが」
アクリル絵具のにおいの中で、あたしは注意深く印象操作をはかった。
ねじれた心が、きしんだ音を立て始めていた。