のばら
土曜日は結局、のばらが希望を通す形でケーキパフェを食べに行くことになった。
待ち合わせた駅ビルのロータリーに、のばらは右目に眼帯をして現れた。
意表を突かれ、おもわず凝視してしまう。
「大丈夫なの? のばら」
「平気。ただみんなにうつしたくないだけ」
のばらはけろりと言った。
眼帯をしていても、のばらは美少女だった。ただ立っているだけで放たれるオーラが、道行くひとの足を止め、目を惹きつける。
「独眼竜正宗みたいでかっこいいよ」
歴史好きの亜由美が言って、3人がどっと笑う。
あたしも乾いた笑い声を出した。

パフェの上にケーキが一切れでんと乗っかっているケーキパフェの店は、地元の女子高生に人気だ。デートしているカップルや、社会人の女性もいる。
迷いに迷って、のばらはあたしと同じチーズケーキパフェを選んだ。
「ダイエット中だからって言ったのにぃ」
樹里はガトーショコラパフェをつつきながら苦情を言う。
「よほど食べたいのがあるのかと思いきや、結局千代子と同じがいいんだもんね、のばらは」
亜由美は小倉抹茶ケーキパフェだ。
「そのワンピだって、千代子が選んだんでしょ?」
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