八周年記念小説
第四話❄約束
茉生は職場復帰しましたが
私のことは未だに
“友人”だと思ったままです。
そして、あの約束は果たされていません。
そう、次回は私が奢るという約束です。
朝窪先生とは何度か飲み会をしました。
何時、記憶が戻るのかわからない以上
“待つ”しかないのはわかっていますが
やはり、思い出したていただけないのは
虚しく、寂しいもので、つい話を
聞いてくださる朝窪先生に
愚痴を吐いてしまうのです。
「雲雀先生、おはよう」
職員室のドアを開けると
最初に朝窪先生が挨拶してくれました。
『おはようございます』
私達の会話に気付いた茉生が来ました。
『瑠色、おはよう』
『茉生、おはようございます』
“友人”として、
ちゃんと振る舞えていると思いますが
やはり、早く思い出して欲しい
気持ちもあり、ぎこちない態度に
なっていないか心配です(苦笑)
+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
週末の日曜日、あの約束を果たすために
今日は私オススメのお店に来ました。
『好きな物、頼んでくださいね』
私のオススメとはいえ、
茉生の好みに合わせたつもりです。
幼馴染みの店というのもありますが。
『じゃあ、僕は
チキン南蛮定食と烏龍茶にするよ』
意外とガッツリ系ですね(笑)
『わかりました。
私はしょうが焼定食とアイスティーにします』
幼馴染みの一人で
店員の桃果を呼びました。
「はぃょ、今行くからちょっと待ってて」
帰ったお客さんのテーブルを
片付けていた桃果の声が響きました。
『あの店員さんは知り合い?』
そう言えば、茉生を此処に
連れて来たのは初めてでしたね。
『えぇ、今呼んだ店員である桃果と
奥で料理してる楼愛は所謂、
幼馴染みというやつでして
小学校入学から高校卒業まで
ずっと一緒だったんです』
大学は二人は調理の、
私は教育学部がある所に行きました。
『そうなんだ』
二人は、私がゲイなのを
理解してくれています。
「お待たせ、ご注文をどうぞ」
『しょうが焼定食とアイスティーと
チキン南蛮定食と烏龍茶をお願いします』
考えていれば、茉生に二人の話を
したことがありませんでしたね。
「ご注文を繰り返します。
しょうが焼定食が一つ、
チキン南蛮定食が一つ
烏龍茶とアイスティーで
よろしかったでしょうか?」
『はい』
桃果の言葉に笑いそうになるのを
耐えながら応えました。
「お飲み物は先にお出ししますか?」
『お願いします』
今度は茉生が応えました。
「烏龍茶とアイスティーです」
どっちがどっちとも訊かずに
アイスティーを私の方へ、烏龍茶を
茉生の方へ置きました。
『迷わず、アイスティーを君の方に置いたね』
彼女が奥に戻った後、茉生が言いました。
『幼馴染みですから、
私の好みを知っているんですよ(苦笑)』
それから幾らかして来た
チキン南蛮定食と
しょうが焼定食を食べながら
他愛もない話をしました。
「よう、久しぶりだな」
食べ終わり、お会計しようと
レジに向かうと楼愛が来ました。
『えぇ、お久しぶりです(๑^ ^๑)
美味しかったです、ご馳走様でした』
本当に昔から変わらない味でした。
「そいつはよかったよ。
隣にいるのは友人か?」
どう、答えましょうか……
『職場の先輩兼友人です(๑•᎑•๑)
私達の三つ上ですよ』
“恋人”なのは隣にいる
茉生が覚えていないので
楼愛には言いませでした。
「そうか、お前に
俺達意外の
友人ができてよかったよ」
子供時代を思い出して
心の中で苦笑しました。
『そうですね』
昔は泣き虫で人見知りで
楼愛の後ろに
よく、隠れていましたから。
「こいつと仲良く
してくださって
ありがとうございます」
『いえ、仲良くしてもらって
いるのは僕の方ですから』
初対面だからでしょうけど
楼愛は私と同い年なのに
茉生は敬語で返しました(苦笑)
『お会計、幾らでしたっけ?』
取り敢えず、お会計を済ませましょう。
「あ、悪い悪い。
一九〇〇円になります」
私は二〇〇〇円出しました。
「一〇〇円のお返しです」
桃果もそうでしたが、楼愛も
店員口調が似合いませんね(笑)
「名乗り遅れましたが瑠色の
幼なじみで纐纈楼愛
(はなぶさろあ)と言います。
さっき、食事を運んでいたのが
妻の纐纈桃果(はなぶさもか)です。
名前を訊いてもいいですか?」
私の友人が気になるみたいですね。
『栗栖茉生(くるすまお)と言います』
「茉生、楼愛は私と
同い年なんですから
初対面だからと言って
敬語で話さなくていいんですよ」
私達の会話を聞いていた桃果が
片付けもそっちのけで近付いてきました。
「そうですよ。
私達は年下なんですから
タメ口で話してください(๑^ ^๑)」
私と桃果二人に言われ、
少し困り顔ではありましたが
次にはタメ口で話出しました。
『わかったよ(苦笑)』
「また、来て下さいね」
黙って私達の様子を見ていた
楼愛は雰囲気で察したのでしょう。
茉生に笑顔でそう言いました。
『わかった。
美味しかったし、
時間ができたら
また瑠色と二人来るよ』
こうして、二人に
また来ると約束して店を出ました。
奢るという約束も
果たせてよかったです。
私のことは未だに
“友人”だと思ったままです。
そして、あの約束は果たされていません。
そう、次回は私が奢るという約束です。
朝窪先生とは何度か飲み会をしました。
何時、記憶が戻るのかわからない以上
“待つ”しかないのはわかっていますが
やはり、思い出したていただけないのは
虚しく、寂しいもので、つい話を
聞いてくださる朝窪先生に
愚痴を吐いてしまうのです。
「雲雀先生、おはよう」
職員室のドアを開けると
最初に朝窪先生が挨拶してくれました。
『おはようございます』
私達の会話に気付いた茉生が来ました。
『瑠色、おはよう』
『茉生、おはようございます』
“友人”として、
ちゃんと振る舞えていると思いますが
やはり、早く思い出して欲しい
気持ちもあり、ぎこちない態度に
なっていないか心配です(苦笑)
+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
週末の日曜日、あの約束を果たすために
今日は私オススメのお店に来ました。
『好きな物、頼んでくださいね』
私のオススメとはいえ、
茉生の好みに合わせたつもりです。
幼馴染みの店というのもありますが。
『じゃあ、僕は
チキン南蛮定食と烏龍茶にするよ』
意外とガッツリ系ですね(笑)
『わかりました。
私はしょうが焼定食とアイスティーにします』
幼馴染みの一人で
店員の桃果を呼びました。
「はぃょ、今行くからちょっと待ってて」
帰ったお客さんのテーブルを
片付けていた桃果の声が響きました。
『あの店員さんは知り合い?』
そう言えば、茉生を此処に
連れて来たのは初めてでしたね。
『えぇ、今呼んだ店員である桃果と
奥で料理してる楼愛は所謂、
幼馴染みというやつでして
小学校入学から高校卒業まで
ずっと一緒だったんです』
大学は二人は調理の、
私は教育学部がある所に行きました。
『そうなんだ』
二人は、私がゲイなのを
理解してくれています。
「お待たせ、ご注文をどうぞ」
『しょうが焼定食とアイスティーと
チキン南蛮定食と烏龍茶をお願いします』
考えていれば、茉生に二人の話を
したことがありませんでしたね。
「ご注文を繰り返します。
しょうが焼定食が一つ、
チキン南蛮定食が一つ
烏龍茶とアイスティーで
よろしかったでしょうか?」
『はい』
桃果の言葉に笑いそうになるのを
耐えながら応えました。
「お飲み物は先にお出ししますか?」
『お願いします』
今度は茉生が応えました。
「烏龍茶とアイスティーです」
どっちがどっちとも訊かずに
アイスティーを私の方へ、烏龍茶を
茉生の方へ置きました。
『迷わず、アイスティーを君の方に置いたね』
彼女が奥に戻った後、茉生が言いました。
『幼馴染みですから、
私の好みを知っているんですよ(苦笑)』
それから幾らかして来た
チキン南蛮定食と
しょうが焼定食を食べながら
他愛もない話をしました。
「よう、久しぶりだな」
食べ終わり、お会計しようと
レジに向かうと楼愛が来ました。
『えぇ、お久しぶりです(๑^ ^๑)
美味しかったです、ご馳走様でした』
本当に昔から変わらない味でした。
「そいつはよかったよ。
隣にいるのは友人か?」
どう、答えましょうか……
『職場の先輩兼友人です(๑•᎑•๑)
私達の三つ上ですよ』
“恋人”なのは隣にいる
茉生が覚えていないので
楼愛には言いませでした。
「そうか、お前に
俺達意外の
友人ができてよかったよ」
子供時代を思い出して
心の中で苦笑しました。
『そうですね』
昔は泣き虫で人見知りで
楼愛の後ろに
よく、隠れていましたから。
「こいつと仲良く
してくださって
ありがとうございます」
『いえ、仲良くしてもらって
いるのは僕の方ですから』
初対面だからでしょうけど
楼愛は私と同い年なのに
茉生は敬語で返しました(苦笑)
『お会計、幾らでしたっけ?』
取り敢えず、お会計を済ませましょう。
「あ、悪い悪い。
一九〇〇円になります」
私は二〇〇〇円出しました。
「一〇〇円のお返しです」
桃果もそうでしたが、楼愛も
店員口調が似合いませんね(笑)
「名乗り遅れましたが瑠色の
幼なじみで纐纈楼愛
(はなぶさろあ)と言います。
さっき、食事を運んでいたのが
妻の纐纈桃果(はなぶさもか)です。
名前を訊いてもいいですか?」
私の友人が気になるみたいですね。
『栗栖茉生(くるすまお)と言います』
「茉生、楼愛は私と
同い年なんですから
初対面だからと言って
敬語で話さなくていいんですよ」
私達の会話を聞いていた桃果が
片付けもそっちのけで近付いてきました。
「そうですよ。
私達は年下なんですから
タメ口で話してください(๑^ ^๑)」
私と桃果二人に言われ、
少し困り顔ではありましたが
次にはタメ口で話出しました。
『わかったよ(苦笑)』
「また、来て下さいね」
黙って私達の様子を見ていた
楼愛は雰囲気で察したのでしょう。
茉生に笑顔でそう言いました。
『わかった。
美味しかったし、
時間ができたら
また瑠色と二人来るよ』
こうして、二人に
また来ると約束して店を出ました。
奢るという約束も
果たせてよかったです。