あの時からずっと、君は俺の好きな人。
*
「ただいまー」
私が出入口のドアを開けるとチリンチリン、とドアの上部につけられていた鈴が鳴る。同時に、香ばしいパンの匂いが、鼻腔を刺激した。
「おっかえりー」
レジカウンターの奥からなっちゃんが元気そうに手を振る。
16時前であるためか、客はいなかった。これがもう少し遅い時間になると、レジ前には行列ができるのだが。
製パンの専門学校を卒業後、2年ほどパン屋で働いて修行をしたなっちゃんは、22歳という若さで自分のパン屋を開業した。
ーー開業は事故より少し前だったと記憶している。現在は29歳。
母より一回りも年下の、いつも明るく可愛らしいなっちゃん。
幼い頃から実のお姉ちゃんのように、かわいがってくれていた。
そして両親の葬式で親戚の間で面倒そうに扱われていた私を、「私が引き取る!」と強く言ってくれた。
その時、なっちゃんに対して保険金目当てだもとか、最低なことを言う親戚もいた。
小学五年生の子供だったとはいえ、私がいる前でそんなこと言うかよ、普通。
「ただいまー」
私が出入口のドアを開けるとチリンチリン、とドアの上部につけられていた鈴が鳴る。同時に、香ばしいパンの匂いが、鼻腔を刺激した。
「おっかえりー」
レジカウンターの奥からなっちゃんが元気そうに手を振る。
16時前であるためか、客はいなかった。これがもう少し遅い時間になると、レジ前には行列ができるのだが。
製パンの専門学校を卒業後、2年ほどパン屋で働いて修行をしたなっちゃんは、22歳という若さで自分のパン屋を開業した。
ーー開業は事故より少し前だったと記憶している。現在は29歳。
母より一回りも年下の、いつも明るく可愛らしいなっちゃん。
幼い頃から実のお姉ちゃんのように、かわいがってくれていた。
そして両親の葬式で親戚の間で面倒そうに扱われていた私を、「私が引き取る!」と強く言ってくれた。
その時、なっちゃんに対して保険金目当てだもとか、最低なことを言う親戚もいた。
小学五年生の子供だったとはいえ、私がいる前でそんなこと言うかよ、普通。