あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「その時はヤバいと思ったよ。子供の頃ってさ、一歳違うだけで体格も力も全然違うじゃない? 学年が上の奴なんて、絶対勝てっこない存在って感じでさ。でも藍は全然ビビる様子なくって、私の盾になってくれたの。で、結局痛み分けって感じで戦いは終わってさ」

「ーー殺伐としてる小学校生活だねえ」


何やってんだ小学生の私。覚えてないけど。


「ほんと、あの頃は喧嘩ばっかりだったねー。ーーでも私そこで聞いたの。あまりにも不思議でさ。『なんでいつも私を守ってくれるんだ』って。そしたらなんて言ったと思う、藍」

「なんて言ったんだろ……」

「こう言ったんだよ。『美結は大切な親友だから』って」


美結はじっと私を見た。いまだに切なそうな懐かしそうな微笑みを浮かべて。

ーー私はそう言ったことは覚えていない。

たぶん、小学生の私にとっては、特別なことではなかったからなのだろう。

美結が親友なのは私の中で当たり前だったのだ。当たり前のことを言っただけ。だから覚えていない。

ーーもちろん今だって美結は親友だ。
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