あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「その時私は決めたんだ。『ああ、もう一生藍に付いていこう。この先何があったとしても』って」


はっきりとそう言った美結の瞳は、少し潤んでいた。


「藍は水泳も早くて、いつも私の味方で……本当に頼もしくて」


私は申し訳ない気持ちになった。美結にとって頼りになる存在だったのに、私は例の事故の後はまったく違う人間になってしまったのだ。


「ごめんね……」


だから私は小さい声で言った。美結は間を置かずに首を振った。


「だって、あんなことがあったんだもん。むしろすごいと思うよ、藍は。藍のことをあんまり知らない人から見たら、悲しみを乗り越えて、普通に過ごしているように見えるもん」


ーー私のことをあんまり知らない人から見たら。

つまり、私のことをよく知っている美結から見たら、私は全然普通には見えなかったという事だ。
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