あの時からずっと、君は俺の好きな人。
毎年この日は、事故現場の静岡県の山で遺族は慰霊登山をする。そして近くの川に犠牲者と同じ数だけの灯篭を流し、鎮魂の祈りを捧げる。

両親を失った私も、当然毎年参加していた。


「うん、大丈夫」


私はなっちゃんと目を合わせ、静かに言う。なっちゃんは安心したような表情で「そっか」とだけ言った。

そして、私はレジ奥の扉から住居エリアに入って、廊下を歩いて階段を登り、自室へと入った。

すぐに宿題をやろうと思っていたのに、自室の空気に触れた瞬間に、一気に気が抜けてしまい、私は思わずベッドにダイブした。

そして仰向けになり、天井をぼうっと眺めた。

ーーあの日、パパとママが突然いなくなってしまった。

それまで毎日をが楽しくて、幸せだったのに……それがなんの前触れもなく、粉々に壊れてしまった。

あれから明日で丸6年。私はすべてのことに大して無気力で、何かに熱を持つこともなく、ぼんやりと毎日を過ごしていた。
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