あの時からずっと、君は俺の好きな人。



やはり6年ぶりの水泳は、思うようにはいかなかった。

本番前に与えられた練習の時間は少なく、私達は2回だけリレーを通しで泳いだのだが。


「ーーやっぱり坂下さんに比べたら遅いね、私」


坂下さんにタイム測定をお願いしたのだが、彼女が泳いだ時よりもトータルで3秒ほどは遅い。


「え、でもぶっつけ本番でこれだけ泳げればすごくない!?」

「泳ぎ方もすごく綺麗だしね」

「吉崎さん昔スイミングやってた?」

「え……はは」


三上さんと、私の事情を知っている美結以外のみんなは褒めちぎってくれたが、曖昧に笑って私は誤魔化した。


「早くないのは仕方ないよ。ドタ参でこれだけ泳げれば御の字だよ」

「ーーうん」


プールの中で水野くんとそんな会話をする。ほかの選手達はすでにプールから上がって、何やら相談していた。
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